テルモのR2Pシステムに追従してコーディスのRadianzシステムが発売されRadial専用のデバイスが増えてきて、認知度が上がりRadialアプローチのEVTの割合が上がってきております。
そのRadialアプローチEVTはとにかくデバイスが長く、扱いにくさと、使える道具の制限がある為、なかなかRadialアプローチに踏み切れないと思います。
Femoralアプローチと比べたら患者様にとっては低侵襲になる為、RadialアプローチのEVTに挑戦してもらえるよう準備するデバイス・デバイスの種類・ガイディングシースの挿入の手順をまとめました。
準備するデバイス
まず始めに、Radialアプローチ専用のメインデバイスをどうするか検討します。
その後、長い0.035”ガイドワイヤーや、RadialアプローチのEVTで使用できるIVUSの準備ができているのかの確認。
テルモ R2P システム(アールツーピー)
テルモのRadialアプローチ専用のブランドのR2Pシステムです。
R2Pとは Radial to Peripheral の意味で、RadialアプローチでEVTを行う意味になります。
製品はこのようなラインナップになっています。
ガイディングシース
R2P SlenGuide
テルモのシースのGlidesheath Slenderの7Frに入れれるガイディングカテーテルで、カテーテル長は120cmと150cmの2種類になります。
120cmは腸骨動脈、150cmは大腿動脈とターゲット部位によって使い分けになります。
R2P DestinationSlender
シースレスで挿入するガイディングシースになります。カテーテル長は119cmと149cmの2種類になります。
119cmは腸骨動脈、149cmは大腿動脈とターゲット部位によって使い分けになります。

バルーンカテーテル
Senri(センリ)
- 0.018”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長150cm※RadialアプローチEVTでは腸骨動脈領域のみ使用可能
- 幅広いサイズバリエーションが特徴
サイズバリエーション
Senri(センリ) | バルーン長 | |||
20mm | 40mm | 100mm | ||
バルーン径 | 2.0mm | ◯ | ◯ | ◯ |
3.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
4.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
5.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
6.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
7.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
8.0mm | ◯ | ◯ | – |
R2P Crosstella Rx
- 0.018”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長200cm
- SFA向けのサイズバリエーションが特徴
サイズバリエーション
R2P Crosstella Rx | バルーン長 | |||
40mm | 100mm | 200mm | ||
バルーン径 | 3.0mm | – | ◯ | – |
4.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
5.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | |
6.0mm | ◯ | ◯ | ◯ |
R2P Metacross Rx
- 0.035”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長200cm
- 幅広いサイズバリエーションと、唯一無二の0.035”のRXタイプが特徴
サイズバリエーション
R2P Metacross Rx | バルーン長 | ||||
20mm | 40mm | 60mm | 100mm | ||
バルーン径 | 3.0mm | – | ◯ | – | ◯ |
4.0mm | – | ◯ | – | ◯ | |
5.0mm | – | ◯ | – | ◯ | |
6.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
7.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
8.0mm | ◯ | ◯ | – | – |
ステント
R2P Misago (ミサゴ)
- 0.035”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長200cm
- ステント留置が正確に行えるのと、0.035”のRXタイプが特徴
サイズバリエーション
R2P Misago(ミサゴ) | ステント長 | ||||||
40mm | 60mm | 80mm | 100mm | 120mm | 150mm | ||
ステント径 | 6.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
7.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
8.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | |
9.0mm | ◯ | ◯ | – | – | – | – | |
10.0mm | ◯ | ◯ | – | – | – | – |
サイズ別適応血管
R2P Misago(ミサゴ) | ステント長 | ||||||
40mm | 60mm | 80mm | 100mm | 120mm | 150mm | ||
ステント径 | 6.0mm | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | SFA | SFA |
7.0mm | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | SFA | SFA | |
8.0mm | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | Iliac/SFA | – | – | |
9.0mm | Iliac | Iliac | – | – | – | – | |
10.0mm | Iliac | Iliac | – | – | – | – |
コーディス Radianz システム (ラディアンズ)
コーディスのRadialアプローチ専用のブランドのRadianzシステムです。
Radianzとは コーディスのRadialアプローチ専用EVTデバイスブランドになります。
製品はこのようなラインナップになっています。
ガイディングシース
BRITE TIP RADIANZ (ブライトチップ)
シースレスで挿入するガイディングシースになります。カテーテル長は110cmと135cmの2種類になります。
110cmは腸骨動脈、135cmは大腿動脈とターゲット部位によって使い分けになります。

バルーンカテーテル
SABERX RADIANZ (セイバーエックス)
- 0.018”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長190cm
- 幅広いサイズバリエーションが特徴
サイズバリエーション
SABERX RADIANZ (セイバーエックス) | バルーン長 | ||
40mm | 60mm | ||
バルーン径 | 3.0mm | ◯ | – |
4.0mm | ◯ | ◯ | |
5.0mm | ◯ | ◯ | |
6.0mm | ◯ | ◯ | |
7.0mm | ◯ | ◯ | |
8.0mm | ◯ | ◯ | |
9.0mm | ◯ | – | |
10.0mm | ◯ | – |
ステント
SMART RADIANZ (スマート)
- 0.018”ワイヤー対応
- Rapid Exchangeタイプ
- カテーテル有効長150cmと190cmステントサイズによる
- ステント留置が正確に行えるのと、0.018”のRXタイプが特徴
サイズバリエーション
SMART RADIANZ (スマート) |
ステント長 | |||||
40mm | 60mm | 80mm | 100mm | 150mm | ||
ステント径 | 6.0mm | ◯ | – | – | ◯ | ◯ |
7.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
8.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
9.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | – | – | |
10.0mm | ◯ | ◯ | ◯ | – | – |
サイズ別カテーテル有効長
SMART RADIANZ (スマート) |
ステント長 | |||||
40mm | 60mm | 80mm | 100mm | 150mm | ||
ステント径 | 6.0mm | 190cm | – | – | 190cm | 190cm |
7.0mm | 190cm | 190cm | 190cm | 190cm | 190cm | |
8.0mm | 190cm | 190cm | 190cm | 190cm | 190cm | |
9.0mm | 150cm | 150cm | 150cm | – | – | |
10.0mm | 150cm | 150cm | 150cm | – | – |
0.035″ワイヤー 260cm以上
RadialアプローチのEVTではかなり長いガイディングシースを使用するので、0.035”のワイヤーを長い物を使用します。腸骨動脈のシステムであれば260cmでも足りますが300cmの製品を使用する事が一般的です。SFA領域の治療をやろうと思うと300cm以上の長さが必須になります。
あと、ワイヤーのシャフトのコシの強さなんですが、血管の血管走行の具合や蛇行具合でコシの強いワイヤーを選ぶと良いと思います。テルモのラジフォーカスガイドワイヤーのコシの強さはこちら↓
- スタンダード(パッケージカラー青色)
- ハーフスティッフ(パッケージカラー茶色)
- スティッフ(パッケージカラー黄緑色)
※上から順にシャフトのコシが強くなります。
おすすめのワイヤーはこちら
テルモ ラジフォーカスガイドワイヤーM
ガイドワイヤー長 | 先端形状 | シャフトのコシ |
300cm | アングル | スタンダード |
300cm | アングル | スティッフ |
380cm | アングル | スタンダード |
380cm | アングル | スティッフ |
4Frの診断カテ PIG Tailカテーテルなど
4FrのPIG Tailカテーテルなどを用いて、左鎖骨下動脈から下行大動脈方向へガイドワイヤーを進める。この際、PIG TailやJRなど普段使用しているカテーテルを使用すればいいので、4Frじゃなくても5Frでも問題ないです。
IVUSカテーテル
ガイディングカテーテルもしくは、ガイディングシースのカテーテル長が120cm以内の場合のみ使用が可能になります。理由はIVUSカテーテルがガイディングシースの先端から出てこないからです。要はIVUSカテーテルの有効長が足りなくなるということです。
ガイディング長が120cm以内なら使用できると記載しましたが、実際使用できるIVUSカテーテルは限定されており、IVUSカテーテルの有効長が150cm以上の2種類にカテになります。
- テルモ Navifocus WR カテーテル有効長154cm
- フィリップス Eagle Eyeシリーズ カテーテル有効長150cm
こちらの2種類のみになります。


Radial専用ガイディングシースの挿入方法
まず左Radialを局麻後に、穿刺し、普段Radialに使用している4Frシース挿入。
↓
シースに0.035″300cm前後のワイヤー(アングル形状が良い)と4FrPIGTailカテーテルを挿入。
↓
PIGTailの形状を利用して0.035″ワイヤーを下行大動脈方向へ進め、そのまま治療対象側の腸骨動脈へ進める。
↓
その後0.035″ワイヤーを残した状態で、PIGTailカテーテルを抜去。
↓
ガイディングシースを挿入できる状態まで準備しておく。
↓
0.035″ワイヤーが腸骨動脈付近に残ってる状態で4Frシースを抜去して、ガイディングシースに入れ替える。
↓
0.035″ワイヤーに沿わせてガイディングシースを腸骨動脈付近まで進めて挿入完了になります。
まとめ
準備するもの
- テルモ R2P システムかコーディスRadianz システム
- 長い0.035”のワイヤー
- 4FrのPIG Tailなどのカテーテル
- IVUSカテーテル(テルモNavifocus WRかフィリップスEagle Eye)
準備さえ整っていれば問題なく手技が可能かと思いますが、RadialアプローチのEVTはガイディングのバックアップが無いのと、手元と病変までの距離がある為、ワイヤー操作が非常に難しくなります。なのでopen vesselの症例で使用することをおすすめします。
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