【EVTの対象の血管】今どこ治療してる?この質問を解決したい!

下肢の血管名とEVTのアプローチ EVT
下肢の血管名とEVTのアプローチ

いろんな病院を出入りしていると、EVTを施行中によくメディカルスタッフから「今どこ治療してますか?」という質問が多い。

メディカルスタッフも血管アトラスとか持って調べようとしてますが、血管の情報が多く載っていてわかりにくいと思ったので、EVT対象血管を載せたPDFをこのページの最後にダウンロードできるようにしました。

下肢の血管の全体像

下肢の血管の全体像はこちら↓

EVT 下肢血管名
EVT 下肢血管名 


全体像はこんな感じでやはり血管名が多いですね。これは覚えにくいです。
画像にも載せてますが、下記の2つの血管は治療の対象にならないので覚えなくてもいいです。

・内腸骨動脈:IIA
・深大腿動脈:DFA:ディープ

なぜ載せたかというと、EVTの会話に出てくる事があるので載せました。

「ワイヤーが内腸骨方向に入ってそうです」
「内腸骨の分岐から閉塞してます」
「ディープにワイヤー入ってそうです」
「ディープの分岐から閉塞してます」
「ディープから造影してみます」

こんな会話があるので、内腸骨動脈と深大腿動脈を載せました。

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腸骨動脈の領域

次に腸骨動脈の領域になります。

腸骨動脈領域の血管画像

腸骨動脈:ILIAC領域の血管画像
腸骨動脈:ILIAC領域の血管画像

腸骨動脈のEVTの対象血管は2カ所になります。

・総腸骨動脈:CIA:Common Iliac Artery
・外腸骨動脈:EIA:External Iliac Artery

この2カ所が治療の対象になります。その分け方として内腸骨動脈より手前が総腸骨動脈になり、末梢側が外腸骨動脈になります。

EVTの腸骨動脈領域のアプローチ方法

アプローチは2パターンあります。

Iliac EVT approach
Iliac EVT approach

・同側逆行性穿刺
・対側山越え、クロスオーバー

どちらも総大腿動脈のFemoralアプローチになります。

同側逆行性穿刺

基本はこのアプローチ方法を使用されます。スタンダードな治療のアプローチになります。

シースの長さは短くても大丈夫ですが、ステント挿入時にAortaまでシースを送りたいとなると25cm程度必要です。

対側山越え、クロスオーバー

同側逆行性穿刺で治療するのに都合が悪い場合と、難しい慢性完全閉塞病変(CTO病変)には同側逆行性穿刺と対側山越えを併用して、病変の前後からアプローチする場合があります。

シースの長さは45cmから60cm程度が丁度いいです。

EVT用のガイディングシースはこちら↓

【完全版】EVT用ガイディングシースとガイディングカテーテル!
ガイディングシースとは、EVTに使用するシースの事です。ガイディングカテとの違いは、ガイディングカテは別途シースが必要なのに対して、ガイディングシースはシースは不要です。各製品のスペックを載せております。

大腿動脈の領域

次に腸骨動脈の領域になります。

大腿動脈領域の血管画像

大腿動脈領域の血管画像
大腿動脈領域の血管画像

大腿動脈のEVT対象血管は2カ所になります。

・総大腿動脈:CFA:Common Femoral Artery
・浅大腿動脈:SFA:Superficial Femoral Artery

この2カ所になります。分け方としては、深大腿動脈の手前が総大腿動脈になり、末梢側が浅大腿動脈になります。

EVTの大腿動脈領域のアプローチ方法

アプローチは2パターンあります。

SFA EVT approach
SFA EVT approach

・同側順行性穿刺(CFAは治療不可)
・対側山越え、クロスオーバー(CFAとSFAどちらも治療可能)

同側順行性穿刺

CFAは穿刺部なので、そもそも治療不可になります。ターゲットはSFAになります。SFA治療の基本のアプローチ方法になります。

シースの長さは穿刺箇所からターゲット部までの距離に影響します。なのでproxから病変があれば短くても大丈夫ですし、ターゲットがSFAのdistalであれば45cmから60cmのシースがいいと思います。

対側山越え、クロスオーバー

同側順行性穿刺で治療するのに都合が悪い場合にしようします。例えば

・大腿動脈領域と腸骨動脈領域の2カ所の治療が必要な場合
・ターゲットが総大腿動脈のEVTの場合
・SFAの入口部から病変があり、同側順行性穿刺が困難な場合

以上の状況があると同側順行性穿刺ではなく、対側から山越えクロスオーバーのアプローチを選択する事があります。

シースの長さは45cmから60cm程度が丁度いいです。

EVT用のガイディングシースはこちら↓

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膝窩動脈&膝下領域

次に膝窩動脈&膝下領域になります。

膝窩動脈&膝下領域の画像

膝窩動脈(POP)・膝下動脈(BK)血管画像
膝窩動脈(POP)・膝下動脈(BK)血管画像
膝窩動脈(POP)領域のセグメント分け P1 P2 P3
膝窩動脈(POP)領域のセグメント分け P1 P2 P3

膝窩動脈&膝下領域のEVT対象血管は主に4ヶ所になります。

・膝窩動脈:POP:Popliteal Artery
・前脛骨動脈:ATA:Anterior Tibial Artery
・腓骨動脈:Pero:Peroneal Artery
・後脛骨動脈:PTA:Posterior Tibial Artery

この4ヶ所になります。分け方として、膝窩動脈は膝の関節付近で、膝下からすぐに急角度で分岐する血管がATAになます。

ATAの分岐より奥から2本に分かれますが、そのうち踵(かかと)へ向かう血管がPTAになり、ATAとPTAの間を流れる血管がPeronealになります。

EVTの膝窩動脈&膝下領域アプローチ方法

アプローチには2パターンあります。

BK EVT approach
BK EVT approach

・同側順行性穿刺
・対側山越え、クロスオーバー

どちらも膝付近までシースの先端を持っていきたいので長めのシースを使用します。

場合にはよってはKBTが必要になる場面があり、その際は6Frシースが必要になります。おすすめバルーンはウルトラバースRx+シデン(セミコン)orコヨーテESになります。ウルトラバースは小径であればシャフト細いので相手がシデン(セミコン)orコヨーテESならKBTに使えます。

KBTについてはこちらに詳しく載せています↓

【KBT】キッシングバルーンテクニックのバルーン径の表&計算式!
血管内治療のPCIやEVTでは様々な場面で一般的に使用されるKBT(キッシングバルーンテクニック)ですが、バルーンが重なった部分の計算式を忘れてしまう事がないでしょうか?KBTのバルーンが重なった部分の計算式と表を載せています。

同側順行性穿刺

基本的なアプローチ方法になります。

シースの長さは45cmから60cm程度のシースを使用する事が多いです。

対側山越え、クロスオーバー

ターゲット部が膝窩動脈&膝下領域だとあまり使用しないアプローチになりますが、どうしても同側順行性穿刺ができない場合に選択されます。

シースの長さは90cmから100cm程度の長いシースを使用します。

EVT用のガイディングシースはこちら↓

【完全版】EVT用ガイディングシースとガイディングカテーテル!
ガイディングシースとは、EVTに使用するシースの事です。ガイディングカテとの違いは、ガイディングカテは別途シースが必要なのに対して、ガイディングシースはシースは不要です。各製品のスペックを載せております。

今回の画像PDFダウンロード

以上になります。臨床現場で使えそうと思いましたら画像をダウンロードして活用してください。

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